Carnet de Poche メモ帳
うれしいニュース、おかしな出来事、あれこれ
この貧弱な体にもかかわらず、
どうやら生まれつき、
しっぽだけは立派なんである。

長いんである。
太いんである。
隠そうなんて思えないほど、
はみ出して引きずっている。
だから、はなからあきらめている。
ずるずるしっぽで、よたよた歩く。

しっぽをつかまれないように、
なんて気を使う必要がなくてよかったわね。
そんな体に生んであげた、あたしに感謝しなさいよ。
と、生みの母に言われた。
タ・タ・ターン!
と電光石火のように転びました。
凍った雪の上で足がすべり、ついた手がすべり、お尻もすべり、
手・尻・後頭部の三段打ち、一瞬で。
タ・タ・ターン!

生まれてから今まで、こんな素早い動きをしたことがない!!
(自力で動いたわけじゃないけど)
と、感激しましたが、交差点のど真ん中で、信号がチカチカしてたので、あわてて起き上がって歩道までよちよち。

しかしクラクラ・・・軽い脳シントウ。 帽子が吹っ飛び、腕時計も止まってました。 そして、わたしの感激などよそに、大勢の観光客に指を差されて笑われてました。

観光されてしまったよ。
もしかしたら写メに撮られたかも・・・?

23日18時10分、小樽運河、浅草橋前の交差点でタ・タ・ターン!
と、みごとに仰向けに転んでいたの、わたしです。
撮った方、よければ、送ってください。
清水の舞台から飛び降りても、日本でしかなかった・・・どすん!
もしも、あなたが人の皮をかぶったナメクジだとして。
群衆を前に、人のふりして話しているとき、
人の皮をかぶったカエルの存在に気づいてしまったら、
しかも、特別大きいヤツが3匹も紛れていると知ったら、
ニコニコ人のふりを続けられるだろうか。
思い出しても足がすくむほど萎縮してしまう・・・気がする。

気になっていた諸星大二郎の『バイオの黙示録』を読んだ。
子どもの頃、「生物都市」を読んだときの心筋の萎縮と快感を思い出す。

「なんちゃっておじさん・・・?」
実在なのか架空なのか、昭和の有名なおじさんを
いきなり思い出してしまった。

だって、ここんとこ、たてつづけ。
電車の中や道端で、目立つことをしてしまうのだ。
車両中が「どよっ」と、なる。
へんな呼び名がついちゃったらどうしよう、と。
気づかないうち、おかしな妖気ただよわせてんのかな。

呼ばれるとしたら、なんだろう。
「こなきおばば」かな。
外壁の塗装工事が長引いて、ビニール袋に入れられたままの家で、
じめっと仕事。 気分はエノキダケ。

(*このあと風邪をひきました)
今日から心を入れ替えます。
と、宣言し続けて早何十年。
どうしてなかなか入れ替えられないのか、
今日気づいちゃったのだ。

新しい葡萄酒は、古い皮袋には入れらんないのよ。
心だけ新しくしようったって、そうはいかない。
カラダから鍛え直さなくちゃ。

と、思い立って、早朝散歩を3日間続けたら、
どっとバテた。
だめだめ。夏に無理するもんじゃない。
古い皮袋には古い葡萄酒。それもよし。
心が熟して美味しくなる日を、寝て待てばいいんじゃない?
「はじめまして」と会った人が、実はとても近しい人だった・・ということが、あまりにも立て続けに起きて、ドキドキする。
顔がとても広い人が「世間て狭いですね」というなら、わかる。でもまったく出不精で、人の輪が小さいはずなのに、「世間て狭いですね」なんて言われると、あれあれ?  地球がほんとに小さくなっちゃってるイメージが浮かび、胸が苦しくなる。

みんながお隣さんになったら、どうしよう。
ああ、壁が迫ってくるような圧迫感。

そんなときは、ちょっと遠いお隣さんを思い浮かべてみる。
たとえば、すぐお隣の銀河系、アンドロメダ大星雲のこととか。
ちょっと回覧板を。230万光年の旅。
世間が狭かろうが、広かろうが、なんぼのもんよ、て気分になる。
ふう。

で、気持ちがゆるんで、安らかに眠りにつこうとすると、隣の部屋からの歌声が異様に耳につく。
ふうううう。どうにも狭いのだ、心が。
やっぱり引っ越したい。知らないところに行きたい・・・

来年成人式を迎える娘に、母親らしいことを言ってみる。

私:「はたちになったら人格が顔に現れてきちゃうからね、
自分の顔に責任を持たないとね。
ママも大人になってこんなんなっちゃったけど、
18,9までは花の顔(かんばせ)だったんだから」

娘「鼻の陥没?」

5月第4週覚え書き。

月曜日は吉祥寺のいつものカフェの勉強机で
この秋出版予定の絵本の打ち合わせ。
タルトといっしょにしあわせを噛みしめる。
その後、いつものお店でいつものフォー。

火曜日は護国寺の会社で終日、
この秋出版予定の画集の打ち合わせと作業。
ぼーっとした視界に、浮かび上がってくる絵。

水曜日は自転車全速力で吉祥寺へ。
ぜえぜえしながら戦争ホーキ展最終日に駆け込む。
小さなホーキ人形を買う。

その後トムズボックスでコージ展二度目。
やはり作品がどっと増えていた。
壁際に後ろ向きでぶら下がっていた人形に惚れ込み、買う。

また全速力で自宅に戻り、筋肉痛の脚で幡ヶ谷へ。
乗り換え損なって、新宿から引き返す。脚、鉛。
2年弱楽しませてもらった連載終了。薬膳中華で打ち上げ。
蟻酒のおかげで一晩で筋肉痛治癒。

木曜日は早朝から(8時半だけど)自宅で工事。
午後は淡路町のいつもの会社および
いつもの銀座の書店で絵本の選書。
口ずさむのは蜂の巣ソング。
「ハニカムハニカムロッカッケイ」

金曜も早朝から(9時だけど)自宅に業者が。
午後は板橋区立美術館で夏の打ち合わせ。
今年の隠しテーマは「地味」。滋味ともいう。じわじわたのしみ。
板橋在住のアーティスト丸山常生さんと出会い、
アフリカと超ひも理論で盛り上がる。

土曜はアフリカ子どもの本プロジェクトの仲間と
西町インターナショナルスクールでバザー。
めったに行かない麻布十番は、行き交う人もカフェも広場も
なんだか異国で。ついひとりごともフランス語になる。
「アザ ヴ ジュバン?」
半端に残っちゃったスパゲッティをサラダにしようと思って、
半分に折ってお鍋に入れようとしたのだけど、なかなか折れない。
半量ずつ折ればいいものを、さすが国産とはちがうわね、でも負けない。
と、意地で頑張る。
日頃しょっちゅうへこたれてるくせに、こんなところで負けず嫌い。

ぎ、ぎ、ぎ、ばきーんっ。

目の前でスパゲッティの花火が爆裂。
2センチくらいになって飛び散り、顔に、眼鏡に、腕に、台所中に、ぴしぴしぴしっと攻撃をくらった。

痛いーっ。
これは経験したものにしかわからない痛み。
く、くやしい。
動画に撮っておけばよかった。って、そうじゃなくて。
なんだか、負けた。
うー。雪辱も誓えない。痛すぎて。


*今日のおすすめ本

『スパゲッティになりたい』 (なりたかないやい!)
おいかわけんじ・たけうちまゆこ 学研 2005

『なんででんねん天満はん 天神祭』
今江祥智・文 長新太・絵 童心社 2003

日曜の晩。明日〆切の原稿を少しでも進めなくちゃとMacに向かえど、気分がすぐれず。肩こりのせいか、親指ピアノの弾き過ぎか、ミスタッチが多すぎてまいる。 ムカムカをこらえながら打っているものの、立て続けに「カメの告白」 「月と六ペニス」って・・・ひどすぎますね。ここに書くのもはばかられるほど(書くなよ)。 すみません、三島さん、モームさん、担当さん。もう寝ます。

*今日のおすすめ本
『ヘッセの夜 カミュの朝』ささめやゆき 集英社 2008
あたし、まだ青臭いとこあるからさ・・とさりげなく謙遜してみたら
「青臭くて、親父臭くて、女臭くない」とばっさり言われた。娘に。

*今日のおすすめ本
『オヤジ国憲法でいこう!』よりみちパン!セ 
しりあがり寿/祖父江慎著 100%ORANGE絵 理論社 2005
夢と「ここ」の境界線が、はじめて見えたと思った朝。
目の前の唐揚げの実体が、刻一刻と白い輪郭に消えていくのが感動だった。
なぜ、唐揚げ。
遠く憧れているときはいいのに、
お近づきになると、急にテンション下がってくるのは、なぜ。
「しょせんママはジャニオタなんだよ」
うっ。
ついに。
禁を破って(袋を破って)
柿の種を食べてしまいました。
今年初。目標は3か月我慢のはずだったから、
3か月と17日はたいした超過達成です。

ふふふ。
よろこびと解放感で、わなわなとひとくち。

あれ? あんまりおいしくない。
なんで?
首かしげつつ一袋食べ切ったんだけど、
やっぱりおいしくない。

がーん。ついに。
長年、柿の種を食べなくちゃ原稿にとりかかれずにいたのに、
食べなくても平気な体になったんだわ。
中毒克服の感動と一抹のさびしさ、そして同時に、気づいた。

一袋食べ終えても、ちっとも仕事したくならない。
長年の条件付けも消えちゃったんだわ。

やばい。
こんなはずでは。
よるべがなくなってしまった。

どっと汗。で、もう一袋。
昨日は大雨のなか練馬の茂田井文庫にうかがい、
至福の調査に興じました。
浮かれすぎた帰り道、通い慣れた道に迷い、
お気に入りのアクセサリーを落としてしまいました。

一日で帳尻が合ってるなあと自分を納得させて眠ったんですけど、
起きたら、どうも気持ちが落ち込んでいて。
未練がましく心あたりをくまなく探しましたが、見つからず。
浮かばないまま、夜になってしまいました。

こいつは、なくした分のお金を使わないと気分がおさまらないぞと、
Amazonのカートで踏みとどまってた5冊と新しいデジカメを、一気にお買い上げ!
その後、自転車かっ飛ばして用事をすませ、気分さっぱり帰宅すると、

じゃりり。

靴の下に怪しい感触が。
まさか。さんざん見たはずの場所に。

24時間後に松葉にまみれて見つかったネックレス。
踏みにじってごめんね。
出てきてくれてありがとう。
けど買っちゃった5冊+デジカメ分の気持ちの行き場がなくて、
今夜も悶々としています。
大根補足。

「大根がカウンターにのるのは、高上がりじゃないか」
と、福岡の方(実母)から指摘がありました。

なるほど。
新聞紙に包んで床に置くのは、賛成です。
あるいは台所の隅に置いてあれば、いいです。
でも居間の真ん中に、白く豊満な大根がそのまま置いてあると、ぎょっとしませんか。

確かにカウンターの居心地については、わたしの配慮が足りなかったかもしれません。 そう、しぶしぶ認めざるを得ない出来事があったのです。

一昨日、少しだけ切りかけの大根をカウンターにのせたまま、調理をしていたところ、 じっとしていたはずの大根が突然ごろごろ手前に転がりだし、重曹のびんとお酢のスプレーと 洗剤とスポンジ立てをなぎ倒し、もんどり打ってまな板を突き飛ばしながら、 流しに落ちてきました。
「ぎゃー」

悲鳴を聞きつけた娘がやってきて、せせら笑い
「だから、大根は床がいいんだよ」

(でも切りかけだし。)
とは、口答えしませんでした。

大根の名誉のために断っておきますが、
彼女は上座にふんぞりかえるようなタイプではないのです。
たぶん、はたと気づいて、急に恥じらうタイプなのです。

蛇足ついでにもひとつ補足すると、
わたしがあのとき娘に言い返すはずだったのは
「大根は皮まで全部いただくんですっ」
という決め台詞だったのです。

それが「むく・むくむ」なんて低俗な語呂合わせを一瞬思いついちゃったがために、 口ががまんできずに漏れちゃったのは、やはり年とると括約筋がゆるんでくることと 関係あるんじゃないかと。つまり親父ギャグって、そういう原理なんじゃないかと 思い至ったら、なおさらわびしい。

(補足なんて、してよかった試しがない。)
最近くじ運が悪くて、バチ以外に当たったものといえば、ねんきん特別便だけ。
舛添大臣名の封書を受け取ったときは、なんか社会の一員になった気がした。
堅気だった4年間のデータがみごとにすっぽ抜けていて、すがすがしかった。

今日は社会人らしく区役所に行った。
いかつい建物。なつかしいなあ。何年ぶりかなあ。前に来たのは、通りすがりに離婚届の用紙をもらったときだっけ。窓口の女の人が、びっくりするくらい朗らかに親切で、感動したのを覚えている。
用紙はまだ使えてない。

今回ははじめて「臨時運行許可証」というのを借りてきた。
車検切れちゃったときのナンバープレートですね。
赤い斜め線が、ちょっとワルっぽくて誇らしい。
車検に出すため100メートル乗るのに750円は、タクシーにしても高すぎるけど、ま、気分を買ったと思えば。

そんなわけで、春はそわそわ社会人の気分。
社会って、夢よりも実体ない気がする。
3月最終日は朝からサンザン。
てゆうか、朝起きたら昼になってるし、
3年ぶりの健康診断で身長測ったら「ちぢんでますね」だし、
切にほしかった本3冊は、ジャンケンに敗れて悉く人手に渡るし。

ちぇっ、だ。

思えば先週木曜日、あんまり幸せでバチがあたる〜♪ ってにやけてたのに、
夜まで終始つきまくって、オチがないまま翌日を迎えちゃったのだ。
年をとると3日後に筋肉痛が現れたりするけど、
3日おいてバチがきちゃったわけか。

「ふたつよいことさてないものよ」
河合隼雄さんが書いていた法則を思い出し、つぶやきながら自転車こいで帰宅。
気持ちを切り替え、てきぱき晩ごはんの支度。のはずが。

油揚の油抜きをしようとして、コーヒーを回しかける。
ちがうちがう、こっちのポット・・・と注いだらお湯が数滴しか入ってない。
ふん、こんなときはね、水をひたひたに注いでラップをかけ、レンジに入れればいいんですよ・・・とレンジを開けたら、お昼に食べるはずで温めていた筑前煮が、ぽつねんと冷え冷えと、待ちくたびれており。

うー。踏んだり蹴ったり。
横から娘が「自業自得」と、もうひと蹴り。

・・・
まあ、年度内に清算できてよかったよ。
ちぇっ、ちぇっ、ちぇっの言い納め。
白い気持ちで迎える新年度。
帰宅して2階の居間にあがると、
床に大根が寝ていた。

留守中に届いた生協の品を、冷蔵庫に入れてくれたのは
娘にしたらたいへん上出来なのだが、
入らなかった大根をそのまま床の真ん中に置くのはどうよ。
と軽く小言をいうと

大根はもともと土に生えてたんだよ
床は靴を脱いであがるんだから、床のほうがきれいじゃん。
と、わからないへりくつをこねる。

そうかしら、土よりも足のほうがにおうじゃないの
せめてカウンターの上にのせといてちょうだい
大根は口に入れるものなんだから。
と言い返すと

だって、大根はむくものなんだよ!

と語気を強めたので、負けじと

だって、足はむくむものなんだよ!

と言い返したら

ママの小言はすぐ重みがなくなる。
と鼻で笑われて、置き去りにされた。

やるせない敗北感。
大根を床に置かないでね、って言いたかっただけなのに。
さて。ひさしぶりに予定のない日曜日。
今日までの展覧会が三つあるけど、北九州は遠いし、浦和も少し遠いし、世田谷も遠くないことはないし、「なにもしない」ことにする。

とはいえ「なにもしない」は難しい。
ナマケモノ度は同世代中ではかなりのレベルだと自負しているけど、まだまだ肝が小さくて、ついなにかしらしたくなる。

せめてなるべく意味のないことをしようと、絵の掛け替えをしてみた。
まずここと決めていた壁に、新しい永島正人さんのクレヨン画を掛けると、これはあっちに、あれはこっちに、ひとりで額を持ち狭い家の中を右往左往上へ下へ・・・ついにぴたりとはまって、うれしい。

それからソファの角に座り、背中と首の後ろにクッションをあて、伸ばした脚に膝掛け毛布をかけると・・・これまたぴたりとはまって、うれしい。

このままじっとしてたら立派だけど、やはりじりじり本など読みたくなってしまう。たまっている「読まなきゃいけない」山には手をつけず、ゆでしお落花生をつまみながら、先日ゆかいなお昼をごいっしょした長嶋康郎さんの『ニコニコ通信』を読むことにする。

もっとも無為にふさわしい本でした。
なにもしない日曜日初心者には、ぜひおすすめしたい。
さて。そんなわけで、ずるずる始まった2008年。
ここらで気分を入れ替えて。

折よく今日は月曜日!

と性懲りもなく思い込み。
きれいさっぱり始めましょう。