Carnet de Poche メモ帳
うれしいニュース、おかしな出来事、あれこれ
バリウムやら開脚やら過酷な検診に絶えた週末のごほうび。
金曜夜は自転車で高円寺へ。
覇気のない面々の身のない雑談は気兼ねがいらない。
恒例の、ないない尽くしの飲み会だ。
注文ひとつも億劫に、最初から最後まで熱燗ちびちび。
疲れがひとつも残らず、翌朝の目覚めよし。
しかも前夜の償いのように土曜の午前はもりもり働けるから
いいこと尽くし◎

チャチャッとお昼を作って食べたら
土曜の午後は表参道でギャラリーのはしご。
寒くて雪の予報が出ているから
たぶん人出も少なくて、お出かけ日和だね。

・・・
どっぷり堪能。
興奮して指先がじんじんした。
お金使わないと決めて出かけたのに、買ってしまった。
だって、とんでもない絵。
頭が膨張。

火照りを冷ますため、雑貨や日用品を漁り、立ち読みした後本を買う。
駅中のカフェでしばらく持参の本を読む。
うーん、面白い。
はーっ。いい日だった。

と、永福町に帰り着くと、雪。
そうだよ。雪って言ってたじゃん。
傘なし。荷物多し。がんばれわたし。
「血圧上がりっぱなしなんだって?」
と、朝早くに電話をもらった。
「ご無沙汰していて、このまま死なれると夢見が悪いから」
と、思いがけないプレゼントをもらった。
血圧のおかげで、こんなにいい目にあっていいのかしらん。
ありがたいような、申し訳ないような、ちょっと不吉なような。
そそくさ元気になりました。やっぱり、とってもありがとう。
たぶん血圧上がりっぱなしの日々。
(こわくて測れないでいる)
どれくらいドキドキしてるかって、
長年思っていた人に、
毎日告白し続けているような
そんな感じ。
(しかも毎日別人に)

連日出かけたり、人に会ったり、
ちょっとがんばりすぎるとこうなるわけです。
ちんけなわたし。

もう無理。
一回ダメダメになって、どん底に沈まないと。
心臓が口から出そう。

こんなとき、わたしのダメダメぶりを
長年変わらず受けとめてきてくれたのは
柿の種君なんだけど、
2008年の目標で唯一守り続けているものだから
(「柿の種を食べすぎない」)
ぐっと踏みとどまり、
代わりに鬼打豆の残りを食べ尽くした。

苦しい。
胃袋も口から出そう。

お昼を食べながら目下のダメダメの必要性を娘に打ち明けると
Aに会って発散してこいと助言される。
Aはこんな悩みを受けとめられる器ではないと言うと、
ただ傍若無人をぶつけてくればよいのだと言う。
一理ある。Aは貴重な人材だ。

ダメダメに関しては実に頼もしい娘だが、
テーブルに今日もマグカップが3個置きっぱなし。
ひとつはミルクティー用、
ひとつは中国茶をいっぱい飲みたいとき用、
もうひとつは中国茶を少し飲みたいとき用なのだと言う。
合理的かよ。いいからさげろよ。
ちんけな親子会話のおかげで、少し動悸がおさまってきた。
頭がぼんやりしている。
あんまり動いていないが、休んでもいない。
目もしぱしぱする。

気分転換に、知人のブログを開く。
件名を眺めて、
(へえ。たぬきの嫁入りは、曇りなんだね。
 きつねは、天気雨だけど)
と、ささやかに納得する。

数秒後、目をごしごし。

「ためいきのぬくもり」

・・・

いったいどこをどうしたら。
複雑骨折みたいな読みちがい。

内容は、題名にふさわしいポエムでした。

やっぱり今夜は寝たほうがいい。
知人に心でわびながら。
あ、また。
「 つづく」とか書いといて翌日に回すつもりが
うかうかと1カ月経ってしまった。

書きたかったのは、つきまくっていた一日の駄目押し、
「人にやさしい京王バス」の運転手さんのことなんですけど
・・・ま、もういいか。

そんなわけで、わたしの得意技は「ほったらかし」である。
やりかけたとたんに興味が失せたり、純粋に忘れてたり・・・
ご迷惑かけてすみません。反省。
この「ほったらかし」癖を直さなくちゃなあ、と思えばいいのに
この「ほったらかし」癖うまく利用できないかなあ、と考えちゃうのが
図々しいというか、めでたいというか、
やっぱりいけないところなんだと思う。 反省。
日曜の朝。針の穴くらい小さなことでほめられる。
ところが、その針の穴がツボだった。
ついてる、気がする。
よし。おっくうがってないで、出かけることにする。

道中、雨が降り出し、美術館の最寄り駅に着いたときには、豪雨、落雷で前が見えず。
タクシー拾って乗り込む2、3歩の間に、びしゃびしゃの足。
気を取られ、頭をごちんとぶつける。

でも、小さな傘持っててよかった。
小さなタオルも入れててよかった。
まだだいじょぶ。ついてる、はず。

美術館に到着し、降車するや否や、稲妻が走り、巨大な雷がタクシーに落ちた。 というのは嘘だけど、一歩まちがったら自分に落ちてたんじゃないかと思える近さだった。やはりついてる、かも。

Kさんの講演にちょっと遅刻するも、いい話だー、ほっこり、来てよかったー。
展示を観ている間に雨は上がり、Paul Coxと再会。 bisousつき♪
帰りは同じ方向のKさんの車で、近くまで送っていただく。 車中興味深い話が尽きず。

・・・待て>自分。ほんとにこんなについててよいのか。
どこかに落とし穴がある、気がする。
(が、とりあえず破綻のないまま「つづく」)
明け方、うなされて目が覚めた。
うー。からだが鈍く動かない。
近頃めっきりひきこもり、運動不足のせいかしら。
ああ、胴体がカタツムリになったみたい。

・・と思ってから・・ちがう。
カタツムリは足がないからノロく見えるだけで、
胴だけであんなに進むのってすごくないか。
しかもでっかい重りをひきずって。
運動不足なはずがない。
それどころか、くびれにくびれてるはず。 
太りすぎたら家に胴が入らないんだもの。

・・と気づいたら・・ぞくっ。
運動不足が命取り。 毎日が真剣勝負のカタツムリ。
それを怠惰な自分の胴に引き寄せて考えるとは、
なんて軽卒な比喩を思い浮かべてしまったのか。

ああ、運動不足の上に、思考力不足。
ばか。あたしのばか。
自分をなじりながら、もう一度眠りに落ちる。
毎晩そんな自己嫌悪のドツボ。おかげで寝不足。二度寝の割には。
月曜日。H社のSさんとYさんとランチ。
電車に飛び乗ってから、渡すつもりのサイパン土産と仕事一式を入れた手提げが、手にないことに気づく。家を出たときには、確かにあった。たぶん途中の仕事場か・・・久しぶりに誘ったSさんには特に申し訳ない。謝りながらランチ。あげくに奢ってもらうハメになり、ひたすらに申し訳ない。
帰りに心あたりに電話すると、そんな袋はないという。ええーっ。そうか、駅のベンチか! 夕方、駅の事務所に寄るが、届いてない。しょんぼり帰途につこうとしたところで、自転車のかごに、遠目にもまさしく、でかでかと発見。
6時間もじっとわたしを待ち続けてくれた健気な手提げ、そして、こんな人のいい街がすき。

火曜日。表参道のダイニングカフェで夜間打ち合わせ開始。
長丁場になりそうで、中国茶でスタート。9時、さすがにお腹が空き、うどんを注文。そのまま40分ほど経過するが、来ない。「うどん手打ちなのかしら?」などと言いながら、引き続き打ち合わせに没頭。が、1時間以上経過するも、来ない。
「すみません、まだかかりますか?」
「あ、ちょっと待ってくださいね」と、にこやかな眼鏡のお兄さん。
「ミスで注文通ってませんでした。5分で作りますから」と。
5分後、しれっと到着。と、同時に、しれっと
「ラストオーダーですが、なにか?」

水曜日。夕食後に下北沢で密会。
週の前半の不運を帳消し。
ご機嫌のひとりごとで、夜道の通行人をびくつかせる。

木曜日。仕事の隙間で、目黒区美術館に駆け込み。
空いた展示室内に、大声ではしゃぐ若い男女ふたりが。
「みて〜これかわいい〜」「あ、かわいい。おれは、こっちがすき」「あ〜あたしもそれすき〜」「これ、おまえににてんじゃん」「え〜うれしくないし〜」
聞こえない。聞こえない。
その後、女の子は小首をかしげ、じっと「展示ケースに頬杖をついて」見入っていた。
見えない。見えない。気にしない。
と言いながら、そのレギンスのふくらはぎに蹴りを入れている自分を妄想して、心を鎮める。器小さすぎ。

金曜日。やはり、仕事終わらない。
が、自転車で高円寺の飲み会に駆けつける。翌日の朝が早いことを思い、お酒は控えめに。と、心に決めているのに、減りがバカに早い。一杯だけ、と思っていたのに、お猪口がすぐ空になり、何度も注いでもらってしまう。意志が弱いとは思っていたけど、我ながら情けない。
「飲まないって言ってたのに〜」と言い訳しながら注がれる。しかし、ちっとも酔わないなあ。スタートが出遅れたから、酔いそこなってるのかな。頭が妙に働いてるし、さっきから濡れたテーブルが気になって拭いている。お猪口の糸底も拭き続けている。あれ? 
「ねえ、これって?」
「やだ。そのお猪口だけ漏れてるんですね〜」
と言われ、気づいたところで、お開き。頭冴え冴え。自転車疾走させて帰宅。楽しかったし、飲まない予定だったし、仕事再開できるし、二日酔いあるわけないし、いいことづくめ・・・なはずなんだけど、空しい。

土曜日。ええ、二日酔いはもちろんなく。
朝から三鷹。昼もなく(おにぎりかじりながら)三鷹。そのまま夜9時まで三鷹。
やれやれ、やっと出られると思ったら、無料になるはずの駐車券が何度入れても3600円と表示される。ちょっとバックして、フェイントかけてみたりしても、
「リョウキンハ、サンゼン、ロッピャクエン、デス」
まったく声色を変えない精算機と闘うのをやめ、担当者に電話をかけて聞くと、受付で申請しなくちゃいけないんだった。
疲労と空腹の相乗効果で、切れやすくなっていることを自覚。寝る。

・・・どこからベッドで、どこまで自分かわからない。日曜日。
遠征を自粛。一日引き蘢り、幸せな来週を信じて、眠りに眠る。

たぶん、月曜日が肝心だ。
と、今年の5月も終わってしまった。
やっぱり「わさわさ」>「もそもそ」
行きたかった展覧会は、例によって、いっぱい見逃しましたが、
小さな展示を駆け足で見つつ、つかのまの悦楽に浸りました。

クーニオ展とか、ホリロー展とか、サミロー展とか、コージ展とか、
(わーい、音引き好きー♪)
リョージ展とか、
(これはゆうるり見られました)
セーイチ展とか、アーキラ展とか、リマーコ展とか、、
(むり。音引き断念)

新鮮だったのは
はじめて聞けた100%さんのトークと
20年ぶりに聞いた清水真砂子さんのお話。
心機一転・・・なんていうと気が引けちゃうので、
気分一新・・・いや、気分転換くらいの「5月」。
あいかわらずわさわさしているけれど、
ひっそりもそもそ楽しいことも始めています。
このまま「もそもそ」の比重をふやしたいなあ。
レイチェル・カーソンとリンドグレーンと石井桃子は同い年なのか。
あ、ブルーノ・ムナーリも同い年だ。
全人的な、健やかな知性・・・
100年前に地球上にもたらされた、生きるよろこび。

ついでにいうと、キリンがはじめて日本に来たのも1907年。
雨の日は、朝が肝心だ。
セーラーとペッカのおかげで、爽やかなはじまり。
よっしゃとベッドから起き上がる。

ところが、出かける前に届いた速達は、気がかりだった校正紙。
負けるもんかと封を開く。
おお。1行目からいきなりHiramatsuときたか。
そして数行で目が点に・・ ああ。上には上がいるなあ・・
と赤ペン落として敗北してたら、おっと時間だ。 あわてて発車。

酔ってもないのに、いつのまに足をひねったのかしら。ぶつぶつ。
湿布に包帯巻いてブーツはいてるから、アクセルの踏み込み加減がわからない。

と、ちょっとくさくさしかかったところで、カーラヂオからロッキーのテーマとウルフルズの新曲とキャンディーズのデビュー曲が立て続けに流れる。
おかげで、もいちど「よっしゃ」を取り戻して到着。
さあ、もりもり働くぞ。もりもり、もりもり。
わたしのいけないところは、時間の読みが甘いところ。
そのために、この半年、たいそう苦しい目にあっている。
さらにいけないことに、わたしは「そんな場合じゃない」ことをするのが好きなんである。
まったく、そんな場合じゃない週末であった。
でも、だから、ちょっとしあわせだったりする。
「きみ、あからさまに大人になりきれてない」と言われた。
朝食のとき、娘に。
渡辺茂男先生の「お別れの会」のあと、お互い帰って仕事しなくちゃの人たちが、一杯だけコーヒーを飲もうということになって、神保町の「さぼうる」(20年ぶり!)へ。

なにかと叱ってくださる先輩の編集者・翻訳家のS間さんと、相変わらずかっこいいマイペース絵本作家のK島さんと、今をときめく絵本作家のS井さんという、珍しい4人。
S間さん、K島さんと初めて会ったのは、渡辺先生に連れられていったミネソタのカーランコレクション調査・研修のときで。あれから11年が経っている。

「で。最近ひろまつさんはなにしてんの?」とK島さんに聞かれて、「う?」と返答に詰まる。あたし、なにしてんだろ。

数日経った今も、朝が来る前に書き上げるはずの原稿に向かいながら(もう6時だよ)、あたし、なにしてんだろ。と思い返す。

こんなことしてるから、S間さんに叱られちゃうのよ。
「このひと、ほんと、いっつも無駄なことばかり考えてんのよ」
と、先日も言われたばかりだ。
でも、最近やさしくなったS間さんは、
「あなたの場合、その無駄が、きっとなんかの役に立ってんのよね?」
って、付け足してくれたりする。
朝からでんでこ電車に乗って川を渡り、装幀家で書物研究家の辻村益朗さんの新居へ急ぎの打ち合わせに。
引っ越されたばかりの仕事場には、まだ開かない段ボールが、ざっと50箱。 中にはよだれが出るよな貴重本や資料、千数百枚のLPレコードなどが詰まっているはずなのだが、 箱の外にマジックで「玉石」などと書かれているだけで、どこになにがあるのやら、さっぱり(涙)

当てずっぽうに開梱するも、画巻の資料にあたるつもりが谷中安規の挿絵本に見入ってしまったり、 4種類の『世界図絵』が出てきたけど肝心の1冊が出てこなかったり、ホフマンの『もじゃもじゃペーター』を探しているのに グランヴィルやクレーンの革装本、ビュイックの『英国鳥類誌』とか、1899年発行の英辞典とか、インドのテラコッタとか、 げげっ!知らなかった1920年代の逸品とか・・・嗚呼、幸せな混沌(涙)
大学受験生の娘。
試験本番一週間前になっても、部屋を覗くたびに寝こけていて、 自分を見ているようでやるせない。 なんとか奮起させたいと、
「よし! これから毎晩一週間、縁起のいい夜食を用意してやる!」
と宣言したが、
「夜食のカツは、もたれるからやめてくれ」
と釘をさされてしまった。

仕方ないので、ありもので励ます。
「よっ! 未完の大器!」(ただのミカン)
「勝利はオレンジゃー」(これもミカン)
「クッキーな肉体に健全な精神が宿る!」(屈強。無理)

受験・・やっぱり向いてない気がする。
昨日はよく歩いた。
朝、ネットで取り置きの予約をしていたK書店本店に行ったら、なぜだか「在庫がない」と言われ、 大荷物ぶら下げて新宿をさすらうハメに。午後も、大手出版K社の社内で迷子になったりと、思いがけず運動不足解消してしまう。
夜9時。最寄り駅に着いたときには、もうくたくた。停留所二つ分だけど、ちょうど来ていたバスに飛び乗ってしまった。

ふう。ついてた。あっと言う間に自宅のそばまで・・・来たと思ったら、通り過ぎて行った。あれあれあれ?  一瞬なにが起きたのか理解できず、あわてる。あ、あ、ピンポン押してなかった! ピンポーン。ピンポーン。ピンポンだってばーっ。

何度押しても一度しか鳴らず(意味ナシ)、次の停留所から歩くハメに。ほとんど駅からの距離と変わらないんですけど。

・・・

そんな話を電話で母にすると、母もここ最近の体験談を聞かせてくれる。電車で眠りこけるなんて朝メシみたいな習慣だし、 最近では眼鏡をかけて眼鏡を探す、なんてベタなことをしているらしい。
(ふ。この人よりはまし。)
と、ちょっと安心する。

ふん。メクソハナクソ母娘と呼んでくれい。

・・・

(※でも、こういうマヌケな話はDNAだけじゃなく、血のつながってない 家人もしでかすんですよ。)
上田で混沌対談。北軽井沢で魔除け対談。旭川で泥酔インタビュー。
過呼吸の日々。
マカオで束の間の脱走も、今は昔の秋の日。
高地でのトレーニング後みたいに、来年はすこし呼吸が楽になるかな。

そう言えば、からだの大きな人さしおいて、中学一年のときの肺活量はクラスで一番だったんでした。
役に立ったのは、風船ふくらますときくらいだけど。
夏が過ぎ、土鍋から引き上げられたところの
だし昆布状態・・・ふゅ〜っ。

ところが、九月はまだまだ油断がなりません。
先のことを考えると、胸がざわざわ、肌がぞわぞわしてきます。
振り返れば、悔いがもりもり押し寄せて、息がぜえぜえしてきます。

そんなわけで、今日の恋を生きましょう。
ページもすっきりさせました。一年が経っていたんだなあ。

(ご心配なく。元気です)