Livre d'Image 絵本のポケット
気ままな絵本案内
水の絵本

あ、暑すぎる。
こんな日に読むとしたら、なんの絵本だろ・・・
回らない頭で考えていたら、 記憶の底に沈んでいた絵本が、「ぷくん」と浮かんできた。

『ねずみおことわり』(福音館書店 絶版)。

そうそう。暑い絵本だった。
ギラギラと照るオレンジ色の空に、焦げ茶色に焼けた子どもたち。
プールに入りたいねずみたちが、あれこれ知恵をしぼる話。

大好きだったのは、 入場券の代わりの「びーだま」と、手縫いでこさえる「水泳ぱんつ」のページ。
そして、爽快な結末。 ねずみを断り続けた意地悪なお兄さんにも、 「へ、へーんだ」と鼻を明かしてやった気分になる。さっぱり。

初めて読んでもらったのは、2歳の夏だったろう。
これは兄が幼稚園でもらってきた「こどものとも」で、 わたしの絵本ではないのが、くやしかった。


さっぱりしたいなら、やっぱり水浴び。

きわめつけは、木葉井悦子の 『みずまき』(講談社)だけど、
少し大きな人には、『ふれ、ふれ、あめ!』(岩崎書店)という詩的な絵本も。
母娘で雨のシャワーを浴びながら、踊るシーンが気持ちいい。

写真絵本なら『みず』(福音館書店)。
読みながら、肌やのどが水のよろこびを思い出して、快感。

(2004.7)

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(読売新聞毎週月曜夕刊に掲載)