気ままな絵本案内
雨の絵本
わたしの最初の雨の絵本は、
八島太郎の『あまがさ』
(福音館書店)だったと思う。
ぼんぽろ ぼんぽろ ぼろぼろ ぼんぽろ
木琴の雨垂れの音。奏でているのは、母のアルトの声。
雨が土に染み込むように、自分の内側に染み込んでいた本と、大人になってまた出会った。
ぼんぽろ ぼんぽろ ぼとぼと ぼんぽろ
幼い娘にも繰り返し読まされた。耳にも、口にも、ここちよい音。
1ページ、1ページに、八島の娘、桃へのいとおしさが込められている。
半世紀近く経った今も、ぬくもりがそのままに残っているようだ。
とりわけお気に入りなのは、見返し。
96年、ちひろ美術館で担当した八島太郎展は、忘れられない展示となった。
ピーター・スピアの
『雨、あめ』
(評論社)も、娘からさんざんせがまれた一冊。
文字はひとつもないけれど、絵の中から、音とことばがあふれ出てくる。読んでも
読んでもキリのない絵本。
(2004.6)
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